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おいしい日

言葉と絵でお腹がふくらむ往復書簡


フリー:おすそわけは楽し
今なら桃、うなぎ。もう少ししたら梨、松茸、秋刀魚…… これはちょうど干支がひと回りする間に、小舟のTさんからいただいたものの ほんの一部のお話です。 “小舟”の由来は、帰省中に川っぺりを散歩していたわたしが 釣りのおじいさん(であったところのTさん)の小舟に乗せて...


フリー:365日
米を研ぎ、水に浸す 野菜を洗って刻む 肉を切り、熱したフライパンに投げ込む みりんとしょうゆ、お酒を少し おかぁ、これおいしいねと4歳の娘が言う 夫が何も言わず、そっとおかわりをとりにいく そんな毎日の務めが私を満たし、そして気づく 満たされているのは主婦の私だけでなく...


麺:そば湯気分
つい最近まで、そば屋に入るのは時間のないとき一辺倒でした。 昼間からちびちび飲むほど馴染みの仲になったわけではありませんけれども あれ、こんなに美味しかったっけ? という日がじりじり増えて この夏はそれに拍車がかかっているような気がします。 ...


雨:罪悪感とサラダうどん
「風が吹いたら遅刻して 雨が降ったらお休みで~」 幼い頃から、「南の島のハメハメハ大王の歌」の歌がとても好きでした。 子どもながらに「理想の生き方」を見ていたことは間違いなく 「そんな風な大人になっちゃおう」と、密かに思っていたくらい。...


ジャム:カントリーガールの面目
ジャムのヒントを求めて、書店の料理本コーナーをうろついていたら 編集者として勤めていた頃、お昼休みにカレーを食べながら 「ジャムが作りたいんじゃなくて、ジャムの本が作りたいの!」と言った、ちょっと恥ずかしい記憶が にわかに甦りました。...


絵本:幻のおやつ
どんぐりに天狗の葉っぱ、石ころにつくし、赤い実、木の棒、セミの抜け殻。 これらは、娘のポケットに入っているもの。 私が幼なかった30年前と、娘が3才になる今。色んなことが変わったけれど 子どもが心惹かれるものというのは、そう変わらないんだと気付かされます。...


寿司:おにぎりとにぎり
すし屋で呑むのは、稼ぎがよくて世馴れたひと。 偏見でも、つい気後れしてしまいます。 しかも困ったことに、おすしとお酒は非常によく合う。 そんな度胸なしに居酒屋はやさしくて、思わぬ店で正当派の握り鮨に遭遇できることも。 ...


白:お豆腐屋さーん!
2年間だけ、豆腐売りのおじさんから豆腐や油揚げを買っていたことがあります。 住宅地の奥に公園があって、そのすぐ脇のアパートに住んでいた頃のことです。 とても滑らかな木綿豆腐で、ぼろっと崩れる木綿では荒々しすぎ プリンのような絹豆腐では頼りないとき ...


大晦日:あの日あの時、年越し蕎麦
大晦日といえば、年越し蕎麦。 日本全国津々浦々誰もが、紅白を観ながら、ズルズル蕎麦をすすっている。 年越し蕎麦を食べないなんて、伝統を重んじない血気盛んな若者だけよね! …なんて思い込んでいたのも、今は昔。 結婚して九州で年を越すようになってから、年越し蕎麦を食べない地域も...


出汁:薄きつね色の日曜日
春風亭昇太がうんと若かった頃 「お次は、落語会のプリンスが演ずるメルヘン落語でございます」なんて紹介されて おでんがしゃべる新作落語を、確か『笑点』でやっていました。 新作も古典も分からない小学生だった私にも、現代の話なことがめずらしく ...
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