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寿司:おにぎりとにぎり

  • イラスト・文/木村倫子
  • 2016年3月21日
  • 読了時間: 2分

すし屋で呑むのは、稼ぎがよくて世馴れたひと。 偏見でも、つい気後れしてしまいます。 しかも困ったことに、おすしとお酒は非常によく合う。 そんな度胸なしに居酒屋はやさしくて、思わぬ店で正当派の握り鮨に遭遇できることも。 数年よりもっと前のこと、ひょんなことから意気投合した女性(ひと)と立ち寄った店にも カジュアルなおすしがありました。 店は繁盛していて、まず通されたのは空席待ちにも使える立ち飲みスタンド。 コの字カウンターでテキパキ働く若い板前さんは、口もよく動く人で ぐるりと並んだお客に、テンポよく話しかけては場を盛り上げていました。 豪華3種のっけ盛り寿司といった、シャリが見えないほどネタを盛ったおすしを頼むと 板前さんは「握りは、にぎりとおにぎりがありますけど、どっちにしたしやしょっ」と、 満面の笑みで訊いてきました。 おにぎりでのっけ盛り!? と首を傾げつつも ーーそんな珍しいものがあるなら見てみたい。 ーーおにぎりを立ててはネタがのせにくいし、寝かせてはいくら盛ってもキリがなさそう。 私達は真面目に検討して、普通のにぎりを頼みました。 まだ空席待ちの身でしたから、おなかいっぱいになっても困りますし。 注文を受けた板前さんは、なんとも居心地悪そうでした。 なぜなら冗談だったから。(おにぎりバージョンもどこかにはありそうですけど) そのときはなんか変だったね!と流して、おしゃべりの続きに没頭したのですが あれは私達の似た者同士度合いがよくでた出来事でした。 実をいうと、似すぎていたのが裏目に出たのか 彼女とはそう長い付き合いにはならず、だんだん疎遠になってしまったのですが あの好奇心、真面目さ、ズレた感じのおかげで、記憶のトーンはどこか明るく のっけ盛り的メニューを見かけると、心の中でつい話しかけてしまいます。 おにぎりは分かんないよね~

 
 
 

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