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絵本:幻のおやつ

  • 文・写真/田中青佳
  • 2016年4月18日
  • 読了時間: 3分

どんぐりに天狗の葉っぱ、石ころにつくし、赤い実、木の棒、セミの抜け殻。 これらは、娘のポケットに入っているもの。 私が幼なかった30年前と、娘が3才になる今。色んなことが変わったけれど 子どもが心惹かれるものというのは、そう変わらないんだと気付かされます。

絵本もまた然りで、長く愛されるロングセラーが多数あります。 それらには「子供のにとって不朽の魅力を持つ、力強いあれこれ」がたっぷり! 中でも「おいしいおやつ」が出てくるものは、昔も今も、子どもたちの心を掴んで離しません。

思いつくところを挙げるだけでも、こ~んなに!

『ぐりとぐら』…フライパンいっぱいの「ふわふわの黄金色のカステラ」 『14ひきの朝ごはん』…おばあちゃんとおかあさんが丸める「どんぐりパン」 『ぐるんぱのようちえん』…大きすぎるよ!と叱られた「大きな大きなビスケット」 『からすのパンやさん』…ほかほかこんがりの「ダルマパン」や「おちょうしパン」 『ちびくろサンボ』…虎バターの香りが紙面からも匂い立ってくるような「分厚いパンケーキ」 『めっきらもっきらどおんどん』…物の怪と一緒に食べる、木になる「ふうわり甘いおもち」 『木の実のケーキ』…あまりにおいしそうで木が持ち去ってしまう「タヌキさん特製の木の実のケーキ」

素朴かつシンプルなのに(いや、だからこそ?)本能に訴えかける、おやつの名シーンの数々。 いかがでしょう。きっとひとつくらいは「ああ、あれね!」というものが、あったのでは?

と、そんなことを書くと「田中さんって子どもの頃から食いしん坊ね」と笑われそうですが、 自分が現役の子供だった頃、これらのおやつを食べたいと夢見たことは、ほとんどありませんでした。 というのも、北関東出身の母が出す我が家のおやつは「焼きおにぎり・芋・せんべい」といった硬派なもの。 それで充分に満たされていたし、たまに頂きものの焼き菓子を食べてもあまりおいしくなかったので、 「絵本の中のおやつっていうのは、描写が上手なんだろうな」なんて思っているくらいでした。 残念なことですが、絵本と現実がかけ離れ過ぎていて、妄想すらできなかったんですね。

しかし時は流れ流れて、この一年。自主保育という少し特殊な保育に親子で関わるようになり、 私の中で「絵本の中のおやつ」の位置づけは、「幻」から「身近で大好きなもの」と大きく変わりました。 母仲間の影響でお菓子を手作りするようになり、あのふわふわや香りは本当にあるものだった!と知ったから。 そう。絵本の中のおやつの魅力は、端的に言ってしまえば「手作り」だったのです。

それまでずっと敬遠し続けていた手作り菓子。手を出してみたら、とっても楽しくておいしい。 相棒の倫子さんの「余裕がなくて」に、今になって激しく共感する今日この頃です。

今、娘とその仲間たちは、リスの走り回る森の中、母たちが作った焼き菓子を頬張り、

満たされた顔でくつろいでいます。 そこに寄り添っていると、30年前の小さな私も、いっしょに絵本の世界にいるような気すらしてきます。

そんな子どもたちは今、絵本の中のおやつをどんな風に見ているんでしょう。 いつか、娘が母になった頃、聞いてみたいと思います。 案外「いつも食べてるものと同じだから、別にときめかなかったよ」なんて

アッサリ言われちゃうのかもしれないけれど。

※写真は、娘の友達のお誕生ケーキ。母仲間で、季節の花や葉で飾りつけました。 このケーキを囲んで唄を歌い、やさしい光のロウソクを吹き消し、お祝いしました。

 
 
 

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