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フリー:おすそわけは楽し

  • イラスト・文/木村倫子
  • 2016年8月21日
  • 読了時間: 2分

今なら桃、うなぎ。もう少ししたら梨、松茸、秋刀魚…… これはちょうど干支がひと回りする間に、小舟のTさんからいただいたものの ほんの一部のお話です。 “小舟”の由来は、帰省中に川っぺりを散歩していたわたしが 釣りのおじいさん(であったところのTさん)の小舟に乗せてもらったのが そもそもの始まりだったから。※ 昔取った杵柄で食品の流通に詳しいのだと言って、あれから私と両親の元へ 折りにつけおいしいものを送ってくださるようになり、12年が過ぎました。 Tさん便の特徴は、予告ナシの完熟。 痛みやすい桃は、何個冷蔵庫に入れて、何個誰にもらってもらうか即決必須でした。 紙袋に3〜4個入れて、ご無沙汰している友達に届けたこともありました。 「久しぶりー、実は桃もらっちゃってね」 仕事帰りだった友達との夜のおしゃべりに、桃はよい香りでひと役買ってくれました。 予告ナシといえば、打ち合わせに出ようとした矢先に届いたこともありました。 慌てて開けば、ひばの葉をひいた笊にひと山の松茸。 思いついて一本だけラップでぴっちり包んで、さらにハンカチで包み飛び出しました。

打ち合わせ後、松茸はやっぱり唐突だったかな……と心配しながらハンカチをほどくと 相手の方は、たいへんなもらい上手で 松茸大好きなのー!と喜んでくれ、すぐさま娘さんへ 『今日は松茸ごはんだから、早く帰っておいで!』とメールを打ってくれましたっけ。 そのTさんが夏のはじめに亡くなりました。

ご高齢でしたから、感情は別として自然なお別れです。

「のりこちゃんは何が好きなんだっぺか」 稀に顔を合わせると、そう聞いてくれたものですが 食い意地の張ったわたしは、いつもうまく答えられませんでした。

いただきものの数より、お会いした回数はずっと少なかったから ひょっこり実家あたりでまた会えそうな、ついそんな気がしてしまいます。 でも先日、くだもの屋さんに桃が並んでいるのを見かけたとき、少しだけ実感が湧いてきました。

ここに書いても仕方ないけれど(もともとインターネットには無縁だったから一緒かな) いつもいつもごちそうさまでした。どうもわたし桃が好きみたいです。 おすそわけの楽しみをありがとうございました。 ※よろしければ「食の話 1st」より『贈り物:Tさんからの便り』もご覧ください。 舟に乗った経緯が少しは分かるかも?

 
 
 

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