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雨:罪悪感とサラダうどん

  • 文・写真/田中青佳
  • 2016年6月19日
  • 読了時間: 2分

「風が吹いたら遅刻して 雨が降ったらお休みで~」 幼い頃から、「南の島のハメハメハ大王の歌」の歌がとても好きでした。 子どもながらに「理想の生き方」を見ていたことは間違いなく 「そんな風な大人になっちゃおう」と、密かに思っていたくらい。

時は流れ、10数年。のんびり気質の子どもは、なぜか、やたら働くOLになりました。 IT業界にすごく勢いがあった時代に、縁あって、元気のいいベンチャー企業に就職してみたら 新しいものがバンバン生まれて、誰もがハイテンションで、エキサイティングで… 会社へ行くことも、仕事をすることも、とても楽しかったのです。

でも、どこか本性とは違うことに無理があったのかな。 玄関を開けたら、思っていたよりもずっと雨が強かったある日。 冒頭のあの歌が頭にふっと流れてしまって、突然に仕事をサボったことがありました。

ズル休みなんて珍しいことだったから、休んではみたものの落ち着かないし 寝るだけの場所と化した家ではおこもりすらできないし…ってわけで 仕方なく、ごはんを食べにいくことに。腹が減っては戦はできぬ…の心境だったのかも。

雨の中向かった先は、駅前の地味なうどん屋さん。

頼んだのは、当時好物だったサラダうどん。 濃い目の麺つゆとマヨネーズとツナが混じり合うのがいいんです。コーンの甘さも効いて。

なのに、その時は、冷たくて硬くて、ずいぶん素っ気ない食べもののような気がしました。 テーブルに置かれたメニューを横目で眺めながら、つくづくと 「こんなときにカツ丼を頼めるタイプならよかったのに」なんて思ったことを妙にくっきり覚えています。

今思うと、ただただ疲れてたんでしょう。 せっかくの自由時間を有意義に使うこともできなくて、身体を温めてやることもできないで。 雨で冷えている日にサラダうどんって!今となれば、面白いくらいのミスマッチ。

20代の私、どうかしてたなぁ(笑)

大人になって余裕もできて、まいっている時には温かいものを選べる今。 あのサラダうどんを思い返すと、ちょぴり胸が痛くて、あったかくなります。

こんな冷えた思い出なのに。 そうそう、若いってそういうことだよね。

私、ちゃんと旬を歩んできてるな~って。

 
 
 

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