フリー:酒話会文/田中青佳 イラスト/木村倫子2014年7月23日読了時間: 2分ここ数年のマイブームは「酒話会」です。 食いしん坊の数名が集まって、そのうちの誰かの家で、 季節のものや手作りのおかず、お酒なんかを持ち寄って開く会です。 「桜が咲きそうだから」とか「そろそろ暑気払いを」なんて風に 理由をつけてはちょこちょこと、三十路女の楽しいおしゃべり。 家ならではの砕けた空気と、どれだけ自由に飲んで食べても お財布を心配する必要のない安心感からか(小市民なもので!) スタイリッシュなお店に、おしゃれをして集まる会とは違って 会話もなんだか自然とほのぼのとしたものばかり。 今日のレシピのポイントに最近読んだ本の話、離れて暮らす家族のこと 娘の成長から、はたまた飼い猫のおかしな行動まで… つらつらと語るうち、自分でも気付いてなかった感情がぽろっと口を突いてでたり おもしろいプロジェクトの発端の場にもなったりして。 そうそう、この「酒話会」は、だいたい昼の遅い時間から 夕暮れ時にかけて、のんびりと開いてます。 楽しい時間は早く過ぎるものと相場は決まっているけれど この時間帯にお酒を飲むと、不思議な魔法にかかるみたいで、 すごく楽しいのに、なぜかゆっくり過ぎていく。 オレンジの光が降り注いで、お茶の香ばしい匂いがしてきたら もう今日のこの時間も終わるんだなぁというちょっぴり寂しい気持ちまでが 幸福の中に巻き込まれていくようで、言葉にならない想いに満たされる。 「また酒話会しようね」 「うん」 この時間があるから、二十歳、三十歳と歳を重ねていくたびに 少しずつ重みを増すいろんな荷を、また背負い直せるのかもしれないと思うのです。#1st #フリー
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