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朝ごはん:いつものモーニング

  • 文/木村倫子 写真/田中青佳
  • 2015年1月25日
  • 読了時間: 3分

映画と朝食に思いをめぐらせていたら、浮かんだのはふたつのアメリカ映画でした。 『クレイマー、クレイマー』に登場する朝食は、フレンチトースト。※1 ダスティン・ホフマン扮する仕事人間のテッドが 妻に出て行かれた朝、息子のために最初に作るメニューです。 「ママがいなくても楽しいだろう!」とやけになって。 よく混ざっていない殻入りの卵液が、ろくに沁みていない食パンは見るからにまずそう! 結局、それすら焦がして癇癪を起こしてしまいます。 いつもの朝ごはんが食べたい息子には最悪のスタート。 それが映画の終盤(ストーリー的には一年半後)、息子を引き取りたい母親が戻ってきて 父と息子ふたりの生活もこれでおしまいという朝には テッドがボウルに卵を割り入れ、息子がかき回し、その間にテッドが牛乳を加えフライパンの準備をするという こなれたコンビネーションで、フレンチトーストが焼き上がります。 これは何度も繰り返された行為なんだということが分かる、スムーズなほど切ない朝の光景。 繰り返しを感じるあまり、私はだんだん上達するシーンを記憶の中で捏造していました。 『レインマン』でも、朝食は主人公の変化を表す大切なシーンです。※2 金策に行き詰まった弟チャーリーが、遺産目当てに自閉症の兄を誘拐しますが 兄は決まった日課が送れないと過度のストレスを感じて、取り乱してしまいます。 たとえば、火曜日の朝はホットケーキを食べなければいけないし シロップは絶対ホットケーキより先にテーブルにないといけません。 誘拐した翌朝、テーブルにシロップがないことで落ち着きをなくした兄に 「どっちでもいいだろう!」とキレていたチャーリーですが、 一週間後の別れになるかもしれない朝には、なんでもない街の食堂で 完璧なホットケーキをセッティングして、兄を笑顔にします。 朝食は、昼や夜ほどバリエーションに富んでいないのが普通でしょう。 決まった通りに決まったものを食べて、一日をスタートする。 そうした方が踏み出しやすい第一歩ってあると思います。 『クレイマー、クレイマー』のテッドが、『レインマン』のチャーリーが それぞれの息子や兄とスムーズな朝食を迎えられるのは、じっくり相手の第一歩を見守れるようになったから。 このふたつの朝食シーンは、“いつもの朝ごはん”だからより眩しく映ります。 いつもは一日にしてならず。当たり前でしたね。 ※1『クレイマー、クレイマー』1979年公開。監督/脚本ロバート・ベンソン。

  妻役はメリル・ストリープ。 ※2『レインマン』1988年公開。監督バリー・レヴィンソン。

兄がダスティン・ホフマン、弟役はトム・クルーズ。 余談:ダスティン・ホフマンと朝食について語るなら、「ジョンとメリー」も欠かせないのですが これはいつもの習慣ができる前の男女の物語。メニューは半熟卵とチーズスフレです。

 
 
 

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