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酒:酒の縁

  • 文/木村倫子 写真/田中青佳
  • 2014年9月14日
  • 読了時間: 2分

彼女が利き酒師免許を取得したのは二十歳のことで それから、様々なイベントに日本酒のケータリングをしていたそうです。 『そうです』というのは、彼女に出会ったのは約10年前 一連の活動が落ち着いた頃だったから。 私が始めて個展を開いた場所は、立て壊し予定がある銀座の古いビルでした。 上階にはギャラリーバーがあって、暗い階段を登りがてら ふらりと覗いてくれるお客さんがときどきいらっしゃいました。 彼女もそんな一人でしたが、いつの間にか搬出のための梱包まで手伝ってもらうことに。 窓のない、床はコンクリ―ト打ちっぱなしの殺風景な部屋でしたが 偶然知り合った人とする搬出作業は、旅の宿で荷造りするような気楽さと開放感がありました。 その後、彼女は上階のバーで働き始め 何度も会う機会があったわけではないと記憶していますが 彼女の親類が私の郷里にいることを聞いたり、当時撮っていたという写真を見せてもらったり いま思えば大急ぎで情報交換をした気がします。 ポートフォリオにまとめられた写真と言葉は叙情的で、 はたちでお酒の免許を取得したという茶目っ気のある策士ぶりと裏腹に思えました。 ほどなく彼女は転職し、私は脱サラ。 しばしの空白期間と紆余曲折を経て、バーで見せてもらったポートフォリオのニューバージョンは このサイトの写真になりました。 すでに冒頭でお分かりの方がいらっしゃるかもしれませんが 青のりの青、田中青佳さんのことです。 銀座のギャラリーは、もう建物ごとありません。 そういえば、交友が再開したときに行った彼女の部屋も 都心らしく窓があっても景色を感じないところが、まるでギャラリーのようでした。 吊るされた裸電球が揺れてキャンプっぽく クルミやら何やらいろいろ詰まったパンに美味しそうな影ができていました。 ちなみに、現在彼女が暮らしているのは、ベランダに鉢植えが並ぶ明るい部屋です。 まったくお酒が登場しませんでしたが、いつも何か飲んでいたはず。 純粋にお酒だけで繋がっている関係はそうないでしょう。 SNSが急成長するより前のこと、偶然とつなげる意志が丁度よく合わさった 私が思う酒の縁らしい縁のお話でした。

 
 
 

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